bon-yoのワイン日記

ワインにハマった中年女がデイリーワインと呑気な日常を記録するブログ

外資系と内資系

私は現在は日系の会社に勤めていますが、過去は外資系に勤務しており、また外資系勤めの知り合いも多いので、内資、外資両方の内情が少しわかります。

そこで外資系企業と内資系企業の特徴を、知る範囲で少し比べてみようと思います。

 

まず<外資系>。

もちろん一口に外資系と言っても色々な会社があり、業界や国ごとの特徴もあるし、また日本での歴史が長かったりその会社全体における日本の売り上げが大きいなど日本のプレゼンスが強い会社は日系に近い風土を持っていたりします。

それでも一般的に言えそうなことは、外資系では①スペシャリスト志向で個々人の職責が明確、②人材流動性が高い、③直属の上司に嫌われたらアウト、④能力の指標における英語力の高さの占める割合が大きい、⑤パフォーマンス重視、⑥バカンスが取りやすい、⑦同業の日系に比べて高給、⑧個性的な人が生き安い、というところでしょうか。

 

スペシャリスト志向と②人材流動性

まず、多くの外資系は日系と違って、新卒一括採用で終身雇用を前提にその会社のジェネラリストを育てる、という組織体系はないので、日系である程度鍛えられた専門職をそのポストで採用し、同じ専門職をずっとやってもらう、というケースが多いと思います。ジェネラリスト志向ではなくポストに空きが出たらそこを埋める、という発想なので、職責が明確な反面、その職務や職場環境に不満があってもなかなか部署を超えた移動というのが難しくて、社内の全く違う部署に異動するよりは同業の別の会社に移ることの方が多いように思います。だから外資系は流動性が高いと言われるのだと思います。

また、業界にもよるのかもしれませんが、外資系では、職務内容という横の移動だけではなく、同じ職務で上のポストに昇級するという縦の移動も難しいように思います。採用されたときに、この人はこの職務でこのポスト、というポストの空きを埋める形で採用されるので、仮に上のボスが居なくなっても、そのボスを埋める形で自分が昇進するのではなく、新たに別のそのポストに適した人が外から中途採用されてボスになることが多いからです。ですから、外資系でもっと昇進したい、上の職に就きたい、と思った場合も、同業他社の上位職に転職することでキャリアアップを図る人が多いように思います。

 

③直属の上司に嫌われたらアウト

意外かもしれませんが、外資系における上司・部下関係は日系のそれよりもきわめて重要です。なぜなら、外資系では直属の上司が人事権を握っているからです。この点、日系の方が上司・部下関係がウェットなイメージがありますが、日系企業は人事部が強い権限を持っているし、あくまで会社として採用している大切な社員なので特定の上司一人にその社員をどうこうする強い裁量はありません。ですから、上司にたてつく反骨精神のある若くて有能な部下、のような存在が武勇伝的に語られることがあるのもあくまで日系においてだけであり、外資系においてそんな部下がいたらそれはただのアホです。なぜならそんなことをしたら外資系ではすぐにクビになってしまうからです。それだけ外資系における上司の裁量は大きいのです。

そもそも外資系における採用は、直接の部下になる人材を上司がほとんど単独裁量で選抜しているようなところもあります。ですから、外資系では、ある部署において、上のポストに新しい人がきたと思ったら、すぐにその上司の前の会社における部下も一緒に入ってきたりと、上司と部下がセットで移動する光景は良く見られます。外資系においてはそれだけ上司・部下関係は重要であり、部下の上司に対するこび売りの凄まじさも半端じゃないです。そういう面では、組織が守ってくれる日系よりも、身近な上司に会社人生が左右される外資系の方がウェットかもしれません。

 

④能力の高さの指標における英語力の大きさと⑤パフォーマンス重視

当然ですが外資系では日系より英語力が重視されます。特に本社とやり取りするような部署では、本社からどう評価されるかはほぼ英語力の流暢さにかかっていると言っても過言ではないので、英語ができる人ほどぐんぐん出世します。

また、外資系では、地道な「作業」が得意な人よりも、英語によるコミュニケーション力を含め、プレゼンテーションや政治力など、「パフォーマンス」が上手な人が評価されやすいように思います。日系では、作業がきちっとしていて職人的なところがある真面目な人や、周りに気配りができる調整力に優れた人が評価される気がしますが、外資系では、自分を大きく見せてでもすごそうなプレゼンをしたり有力者にアピールしたりするパフォーマンス力が重要と言えるような気がします。アメリカ人とかはプレゼン能力が高いですし、それと似たようなものが求められているのだと思います。

 

⑥バカンスが取りやすい

これは、欧米のバカンス文化がそのまま反映されており、外資系の人たちは長期バカンスが取りやすくて羨ましいです。もっとも、日本の休暇取得率の低さは国際的に批判されて久しいですが、日本には国民の休日が多いので、それを考えると1ヶ月集中して夏に休みを取る欧米と同様に比べることはできない、という議論もあります。それもあってか、日本の外資系の人たちは、バカンス休暇が取れるといってもせいぜい10日くらいで、1ヶ月休みを取っている日本人はさすがに見たことがない気がします。

この外資系におけるバカンスの取りやすさは、①の職責の明確性にも関係しているのかな、と個人的には思っています。外資では、個々人の職務、担当が明確なので、その人が居ないときは、「今その担当者はお休みです」と言われてその人の休み中ずっとその案件に関するやり取りや取引がストップしたりするのが基本的です。しかし、日系においては、そこまで同一部署における個々人の職責が明確ではないことが多いので、誰かがお休みのときは別の人が代わりに対応したりします。だから、そんな中で長期休みをとると、自分の仕事が他の人に取られてしまう可能性があることが心配されるのかな、と思います。まあ、単に上司が有給取得を快く思わない、というケースも多いでしょうが。

 

⑦日系に比べて高給

外資系と言えば高給、というイメージが強いですが、実際に同業の日系に比べると外資の方がお給料は高給だと思います。ただこれについては、外資では通常の同業の日系会社の作業に加えて日常的に英語が必要とされるという負担が追加されますし、そもそもマンパワーが日系の大企業に比べて少なく一人当たりの作業量は多いですし、撤退リスク等日系ほど雇用は安定していないし、福利厚生も手薄なことが多いと思いますので、お給料が高くなるのは当然かなと思います。一説によると、外資に転職するなら、日系の大企業の2倍のお給料をもらわなければペイしない、という理論もあるようです。

 

⑧個性的な人が生き安い

日系はやはり和をもって尊しとする日本文化が染み付いていますので、和を乱す人は排除されやすいというか、出る杭は打たれる的なところがあると思います。一方外資系では、むしろ強く自己主張できるような人が求められているので、個性的で日本社会では浮いてしまう、くらいの人の方が、外資では活躍できる気がするし、実際にそういう人が外資系に集まっているような気もします。

 

続いて<日系>。

日系企業の特徴は、皆さんご存知の通り、上記の外資系の特徴を真逆にしたような感じだと思います。もっとも最近は、日系企業成果主義能力主義を取り入れているし、終身雇用も保障されなくなったと言われますが、それでもバリバリの外資系に比べたら、まだまだ日系は良くも悪くも日系だと思います。

日系は閉鎖的、非効率、男尊女卑、働き過ぎ、等と色々とたたかれることが多いですが、日系と外資系、両方経験してみて、私は日系の方が圧倒的に自分に合っていたし居心地がいいです。私は自分一人で判断したり強く自己主張したりするのが苦手で、華のあるプレゼンテーションも得意ではないので、周りと協調して会議、会議を繰り返し決済に決済を重ねる日系企業の風土がとても合っていました。こういうとなんだ日系はやっぱりダメなやつの巣窟か、と思われてしまいそうですが、私は外資系で活躍する人たちが日系の部長さん課長さんよりも優れているとは思いません。

日系では、派手なパフォーマンスはできなくても地道にきちっとした作業をしている人がその作業について正当に評価を受けやすいように思いますし、上に行く人は組織の調整力に優れていて上になればなるほど人格者が多いような気がします。周りと同調しながらコツコツと目の前の作業を一生懸命にやっていれば組織が見捨てない、という安心感がありますし、その安心感というのは組織への忠誠心につながるので、組織全体としていいパフォーマンスができるという点は大いにあると思います。また、日系企業はやはり日本経済を動員する主役ですから、その上級職や役員ともなると、目先の自分の利益だけではなく、真剣に日本の経済のために何ができるかを考えていることも多いように思います。

これに対して外資系で活躍する人は、自分の力を発揮したい、それに見合った高いお給料が欲しい、という性向の人が多いように思います。もちろんそれは悪いことではなくて、その分組織に頼らず自分一人の力で責任を持って生きて行けるような人たちですから、頼もしいと思います。

一言で言うならば、日系は組織力、外資系はスタープレーヤーの集まり、という感じでしょうか。AKBとマライヤキャリー(古い?)の違いみたいな感じですかね。最終的に文化の違いに行き着くような気がしますし、向き不向きの問題だと思います。